3年前に糖尿病と鬱(うつ)病を併発し、昨年10月に離職勧奨により退職しました。約1年治療と休養に専念し、体調が徐々に回復してきたので9月から求職活動を始めました。そのことがストレスとなったのか分かりませんが、最近体調が良くなく、一日中寝ている日もあります。予約していた職業相談もキャンセルしてしまいました。
精神科の先生に相談すれば休養するよう言われるので、求職活動をやめると失業給付金がもらえなくなり治療費が払えなくなります。糖尿病治療としてダイエットをして体重を16キロくらい落としましたが、最近反動からか過食気味です。
今後のことを考えると不安です。(宮城県・40代男性)
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問題が複雑に入り組んでいますね。「糖尿病」と「鬱病」が併発し、それらが長期化・慢性化したため失職した。さらにそこから、求職活動を頑張ることで「鬱病」が悪化し、まさに“無間地獄”に陥っているかのようです。
お金のメドもたたず、一寸先は闇。また、過食による高血糖をインスリンで人工的に押さえ込むというような不自然なことを続けていると、体に相当な無理がかかります。なんとかこの悪循環を断ち切らなくてはなりません。
私は、まず過食に着眼します。成人になってから発症する糖尿病は普通2型といって、過食による肥満が伴うことが多いです。また、通常の「鬱病」ですと、不眠・抑鬱・無気力などに加え、食欲不振になることが圧倒的に多く、本当に「鬱病」なのか、再考の余地があります。
ここ数年でも、熱心な求職活動ができたり、もともと旺盛な食欲があったりすることから、「双極2型障害」(躁鬱(そううつ)病の一種。鬱状態と軽度躁状態が振幅するタイプ)である可能性もあります。もしそうであったら、感情調整薬といった抗鬱薬とは別な薬が必要となる場合もあります。向精神薬の中には食欲を増進するものがあり、あなたの処方の中にそのようなものがないか検討することも重要です。
ここまで薬物のことばかりお話ししていますが、治療費の問題についても、「治療自体に関係のないことだから」などと臆(おく)さず、主治医に相談してみられることをお勧めします。近ごろは、治療をどう生活や労働と折り合わせるか、配慮する医師が増えています。無理のないよう、うまく働く工夫を、主治医と一緒に考えていくこともできるのではないでしょうか。